家族とつながるきっかけに
契約者の約7割が高齢の親を持つ子世代だと言うが、毎月の訪問を楽しみにして、何日も前からお茶菓子を用意したり、おしゃれや身だしなみに気を使ったりと、生活に張り合いが生まれて元気になる利用者も多いのだとか。
「何かと忙しい子どもの側も、報告書の写真や親からのコメントを見ると、『久しぶりに連絡しようかな』という気持ちになるようです。それで家族のコミュニケーションが活発になった、という声も届いています」
訪問を重ねて親しくなった局員が、手の届きにくい場所の荷物の取り出しや電球の交換などを頼まれることもあり、サービスの時間内であればできるだけ対応している。「郵便局員が利用者の誕生日に合わせて訪問し、お祝いをした」という事例もあるとのこと。〈人と人〉が顔を合わせてふれ合い、会話する。そんな当たり前の日常をベースにしたサービスだ。
コロナ禍によって人の移動が制限されたこの数年で、遠方の親を心配する子どもからの問い合わせが増えている。さらに、「お子さんから提案されても『まだ見守りが必要な年じゃない』とお断りになっていたご本人が、ご近所の方や親しいお友だちを亡くして不安になり、『近くの郵便局さんが来てくれるなら』と加入をご検討されるケースもあるようです」と小川さん。
孤立しがちな一人暮らしのシニアにとって、家族や社会とつながれる見守りサービスの価値は、今後ますます高まるだろう。