北斗 今日二人でこうして話していて改めて思うのは、夫婦って子どもが巣立ったところでゴールのような気がしていたけど、とんでもないね。夫婦二人になってからの人生のほうがずっと大変だもん。平均寿命も延びているから、いつまで続くかわからないわけで。
健介 そうだなあ。だからこそ、できる限りお互い建康でいることが大切だよね。足腰が弱ったら大変だと思うから、プロレスを引退したあともずっと筋トレは欠かさない。筋力さえあれば自分のことは自分でできる。それに、男はやっぱり女房くらい抱えられるようじゃないとダメじゃないですか。
北斗 あのう、女房、70キロくらいありますが。(笑)
健介 え? そんなに? じゃ、もっと鍛えないと。
北斗 おう、がんばってくれ。(笑)
子どもに迷惑をかけないための準備
健介 幸いわが家は、光熱費はイタいけど、その一方で、どちらかが多少弱ってきても、二人で長く過ごせるようにつくってある。バリアフリーだし、ドアは引き戸だし、階段は手すりがついていて、足をのせるところが広く、勾配もゆるやか。
北斗 体を痛めつける職業だったから、家を建てるとなれば、やっぱり思うように動けなくなることを想定した家になっちゃう。長く活躍してきた先輩を見ても、あちこち痛みが出たりしているし、どうしても人より早く体が動かなくなる。これはしかたがないことだけれど、元気でいたいね。建康のために二人で自転車こぎとかどうかなあ? 犬の花ちゃんを籠に乗っけてサイクリングとかさ。
健介 散歩よりもいいかもしれないね。ねえ、最近の女の人は、夫が退職して一日中いっしょに過ごすことになるのがイヤなんでしょう。
北斗 「夫がウザい」とか「夫を断捨離したい」とか、聞くねー。
健介 それは、かわいそうすぎるよ。
北斗 女はいくつになっても、ランチ行こうとか、バスツアーに参加しようとか、人とつながることができるじゃない。でも、じじいはできないんだよ。
健介 男はそういうのが苦手なの。
北斗 でもさ、退職後にグチを言う相手も見つけられず、何に依存するかというと女房に依存するわけでしょ。そりゃウザいよ。せめて、自力で趣味くらい見つけないと。
健介 うちの近所は、男の人も地域のクリーン作戦とかに参加したり、集会所に花を植えたりして、交流があるほうなのかな。
北斗 そうだね。
健介 しかも、わが家は近所に親戚もいる。これはなにより安心。この間お義父さんが倒れたときも、チャコとお義姉さん、義妹さんの3姉妹が力を合わせてお義母さんを助けている姿を見て、近くに住むっていいなあと思った。