「持ち寄り」の日は、安いワインや日本酒も楽しむ。酔いが回ると、話が弾む。ある日、宝くじが話題にあがった。当たったためしがないとグチる私に、彼女はいたずらっぽい目を向ける。

「私、宝くじってこれまでに2回しか買ったことがないけれど、2回とも当たったのよ。息子を妊娠中、1枚だけ買って毎日腹帯に差し込んでいたら、1万円」

「えっ、1枚だけで……」

「それでね、娘を妊娠中にも同じようにしたら、今度は3000円」

お小遣い程度のささやかな額かもしれない。でも、毎年欠かさず、連番もバラも購入しつづけている身としては、人生で2枚だけ買ったものが、1万円、3000円と当たるのは、相当ラッキーに思えた。私はこんなに情熱とお金を注いでいるというのに……。

欲張らないほうがいいのかもしれない。その年末は、私も1枚だけ買ってみることにした。が、悲しいかな、やっぱり紙くずに。以来、バカバカしくなって、宝くじを購入するのをやめてしまった。その時から、なんとなく彼女を、自分とは違って「運がいい人」と思うようになった。

 

棚ボタの土地と出世。でもそれ以上に羨ましいのは

娘たちが小学校に上がる少し前、いつものように「持ち寄り」で盛り上がっている最中に、百合子がポツリ。

「実は、今度、引っ越すことになったんだ。ちょっと家が遠くなるから、こんなふうにしょっちゅうは『持ち寄り』ができなくなるかも……」

聞けば、夫婦で働く建設会社の社長から、「うちの庭、広いだろう。持て余しているから、そこに家を建てないか?」と言われたらしい。

社長には、子どもがいない。それゆえ、まじめに勤続する百合子夫婦を実の子どものように思ってくれているそうだ。それまでも勤務先で良くしてもらっているとは聞いていた。

毎年、元日には家族4人分の「お年玉」として4万円をぽち袋に包んでくれる。社長の奥さんは、必ずといっていいほど、仕事帰りに煮物や40年ものの糠床で作った漬物などのお土産を持たせてくれる。子どもが熱を出し、保育園に預けられずに困っていると、病院へ連れていって仕事が終わるまで面倒をみてくれる……。