(イラスト:山口哲司)
運のいい人、悪い人はどこで差がつくのか?誰もが夢を持って購入する宝くじ、発売当初年間販売実績が3億円だったが、令和3年には8113億円に。約4割が収益として発売元の都道府県などに納められて公共事業に使われ、1.4%は社会貢献に充てられているという。そして、当選者に支払われるのは5割弱、その幸運に恵まれる人は一握りーー。当てたいものはいろいろあれど、望めば望むほど当たらないのが世の常。だからこそ、運を摑むために人は奮闘する。近くに運のいい人がいると、どうしても気になってしまうもの。なんだかいつもうまくいく彼女。私といったい何が違うっていうの……!?竹本春香さん(仮名・東京都・会社員・50歳)の場合は、境遇がだんだん違ってきたことに戸惑いを感じている。

自分と似た人だと思って、意気投合したけれど

ママ友の百合子は、娘が1歳になったばかりの頃、わが家と外観がよく似た向かいのマンションに引っ越してきた。私の娘と同じ年の娘、2歳上の息子、そして「地元の小さな建設会社で一緒に働いている」という夫の4人家族。彼女と私は年齢が近く、子どもたちが同じ保育園に入ったため、自然とつき合いが始まった。

そのうちお互いの家を行き来するように。彼女の家は、外観から想像していた通り、わが家とほとんど同じ間取りだった。4畳半と8畳の部屋、「ダイニング」と言うのもはばかられる狭さの2DK。さらに、物が雑多に置かれているのも一緒。だからなのか、居心地がすこぶるいい。

彼女もわが家を訪れるたび、椅子にどかっと座って「すごく落ち着く」と言う。わが家は母子家庭という違いはあるが、暮らしぶりはよく似ているようで、親近感がわいた。

平日も週に1、2度は、子どもたちを保育園へお迎えに行った帰り道、「今日、夕飯作るのが面倒。『持ち寄り』やろうか?」となる。お互いに1品ずつおかずを作り、それをどちらかの家へ持参、一緒に食事をするのだ。外食だと高くつくし、「1品作ればよし!」という手軽さで、働く母親としてはとても重宝する手段だった。