自分に嘘をつくのを止めた貴司くん

優しすぎる貴司くんはいわゆる「普通の人生」が自分には向いてないことを薄々気づきながら、周りの人に気を遣い、自分を騙して進む道を選んで来たのでしょう。それがどんどん苦しくなっていきました。

しかし、自分に嘘をつくのを止めたことで、自分らしい生き方を模索しはじめることができています。

貴司くんはブラック労働をさせられていたようでしたが、実際に上司にパワハラを受けたような場面は一切放送されていません。ただただ、仕事の電話が頻繁にかかってくることで大変さが表現されていました。

一方、逃げていることをなかなか認めない久留美の父(イラスト:タテノカズヒロ)

この点、著者としては少し不思議に思っていたのですが、企業の労働環境がいかにブラックだったかは置いておいて、ドラマとしては、あくまで「貴司くん自身が自分に向き合えるかどうか」ということが重要だったからなのかもしれません。

その意味で「逃げているのをずっと認めない」久留美ちゃんのお父さんも気になる存在でした。