5つのステップで空間作りを

それでは具体的に、片づけのノウハウをご紹介していきましょう。私はシニア向けの片づけ術として、5つのステップを提案しています。

 

<ステップ1>ライフラインの確保

*「いる」「いらない」の選別は後回しでOK*

ここでいうライフラインとは、寝室やトイレ、キッチン、洗面所などに通じる通路のことです。

寝る・食べるという生命維持の行動に直結する通路が整わないと、安全で健康的な生活を送ることはできません。廊下にモノがたくさん置かれていると、足をひっかけたりして事故やケガの原因になります。

ここにあるモノは、まとめて別の場所か部屋の一角に寄せて、移動スペースはなるべく広くとるのが鉄則。この「寄せる」についてはステップ3で詳しく説明しますが、「いる」「いらない」の選別は後回しでOK。

廊下が広くきれいになればモノの移動もしやすくなりますし、気分も上がり、片づける意欲がわいてくることでしょう。

 

<ステップ2>生活動線の見直し

*最短距離で移動できるよう、家具の配置を見直そう*

生活動線は、その家ごとの、日常的に使う通り道です。この動線がこんがらがっていると、モノや人の移動がスムーズにいかなくなり、ストレスを生んだり、モノが溜まりやすくなります。やっかいなことに、この動線は一度決まってしまうと固定化されがち。通行をじゃまするモノがあったら動かし、ジグザグに迂回しているようなら最短距離で移動できるよう、家具の配置を見直します。

家のあちこちになぜか衣類が散乱している高齢のご家庭がありました。洗濯機のある洗面所から物干し、そして衣装ダンスのある和室までの動線が長すぎて、取り込んだ衣類をしまうまでの間に力尽き、椅子やソファーについ置いてしまっていたようです。そこで洗濯動線を見直し、洗面所の隣の部屋にハンガーラックを設置。物干しと収納をここに一本化でき、衣類の散乱は一気に解消されました。

みなさんも、ぜひ一度、家具の配置図を描き、ストレスの多い動線になっていないか確認してみてください。気づかずに暮らしていることも、意外と多いものですよ。