広い部屋は、どこもモノであふれていた

やりたいことがわからないという人は、「特に多くあるモノ」に注目してください。オシャレが好きな人なら服やアクセサリーをたくさんお持ちでしょうし、読書好きなら本が大量にあるはずです。それがその人のやりたいことにつながって、ゴールへの道が見えてきます。

80代前半のAさんご夫妻は、3LDKのマンションにお二人で暮らしていました。広い部屋は、どこもモノであふれています。「何も捨ててほしくない」というご意向でしたので、私はこの家の北側の一部屋を仮の物置部屋にして、家中のモノを集めることにしました。

片づいた二部屋は、ご主人と奥さんにそれぞれ割り当て。お二人は、自分専用の部屋ができたことに大喜びです。さらに驚いたことに、あれだけ「捨てたくない」気持ちが強かったにもかかわらず、自ら物置部屋に置いたモノを処分し始めました。空間ができると、自然とモノを減らす気持ちがわいてくるのですね。

しかも、かつてアートフラワーの先生をしていたという奥さんが、スッキリした物置部屋を見て「ここを私のアトリエにしたいわ」と言い出したのです。新しい空間が生まれたことで、やりたいこと、ワクワクすることを思い出したのでしょう。

モノが動くと空間ができ、空間ができると心が動きます。そして心が動くと人生が変わります。片づけは、家を片づけるためにするのではなく、人生を楽しむためにするのだとあらためて思わされた瞬間でした。

 

\モノを集めた物置部屋が……/
 


〈Aさん夫妻はいったん一部屋を物置にして、すべてのモノをここに集めることに。しかしその後、片づけ意識が高まり、この物置部屋の中も美しく整理することに成功。物置部屋が夢だったアトリエになった〉