認知症の専門医はまだ数が少ないため、最寄りの病院を探すには「日本認知症学会」「日本老年精神医学会」「日本認知症予防学会」などのホームページが参考になると思います。

いきなり専門医を訪ねるのは気後れする、探し方がわからないといった場合は、普段からつき合いのあるかかりつけ医に相談するのもひとつの手。認知症の治療は長期に及ぶため、専門医の治療を受けながらかかりつけ医に日常的なケアをしてもらえば安心して過ごせるはずです。

家族に受診をすすめたいが拒否されているという場合も、かかりつけ医から「大きな病院で一度診てもらうと安心ですよ」とアドバイスされると、素直に受け入れてくれるケースが多いもの。無理に連れていったり、嘘をついて受診させると、家族や医師に不信感を持って、その後の治療や介護に支障が出る可能性もあるので避けましょう。

どうしても受診をためらう人に対しては、専門医や保健師、看護師、介護福祉士など専門チームが自宅を訪ねて医療や介護の相談にのってくれる「認知症初期集中支援チーム」という仕組みもあります。利用したい場合は、近くの地域包括支援センターで相談してみてください。

認知症の診断は、医師による問診をはじめCT、MRIなどの画像検査や血液検査、神経心理学的検査などを総合して行われます。認知症だと思い受診したら、老人性のうつ病や脳外科的疾患などほかの病気が見つかり、治療に繋がるケースも。

現在は、アルツハイマー型認知症の場合、原因となるアミロイドβというタンパク質の蓄積を画像化できる「アミロイドイメージング」という検査があります(PET)。ただ、アミロイドβが多く蓄積していても認知症を発症しない人もいるので、やはり専門医による総合的な診断が必要でしょう。

認知症やMCIと診断が下れば、薬物治療を開始。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に処方される薬は神経細胞に作用して症状の進行を遅らせるはたらきがあるため、早く服用を開始するほど高い効果が期待できます。

SCDなどごく初期の段階では、「加齢によるもの忘れです」と言われ、治療の提案もなく帰されてしまうことが珍しくありません。ただ前述のとおり認知症はスペクトラムで進行するため、初期の検査の画像データはその後の治療でも貴重な資料に。そうした理由からも早めの受診には一定の意味があるでしょう。