これが〈弟嫁〉の立場なのか……(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
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夫の実家の台所で

夫の実家では両親と長兄が暮らしている。長兄のみ独身で、ほかのきょうだいは既婚者だ。夫は次男だが、義父から呼び出しの電話を受けるや、私を連れて県境を越え、高速道路を数時間走り、忠臣のごとく馳せ参じる。私は盆暮れ正月や連休に、夫の実家の台所に立たされるのが常だ。

到着すると、義父は近隣に住む義姉妹を招集。一同が集まり飲食歓談する声を遠く背中に聞きつつ、勝手のわからぬ家の台所に立つ私は、孤立無援で食事の支度をする。

かつて、私がつわりでつらいときも、悪露の続く産褥期でも容赦なかった。首の据わらないわが子にかまう暇さえ与えられない。みんなが食事にとりかかったわずかな時間に、別室で寝かされている子どものおしめを替え、授乳した。

座敷で飼われている犬が寝ている赤子をまたいでも、我関せずの人々。よだれだらけのわが子の顔に犬の毛が付いているのを見て、泣きたくなったものだ。入院していた実父の容態が悪くなったときも、例外はなかった。

これが〈弟嫁〉の立場なのか。義理の弟は、子どもを連れてくることはあっても、妻を同伴したことはない。なぜ私が免除されないのか不満だが、夫は聞く耳を持たない。これはほんの少し前、平成時代の話である。


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