愛すべきどんぶり勘定
伯山 本牧亭はお客さんが埋まったら200人くらいですか。
清水 120です。でも畳席だから、詰めればいくらでも入っちゃう。襖を開けて廊下にも入っていただくことがありました。
伯山 廊下に座らせちゃえばいいっていう発想が、どんぶり勘定でいい感じです。(笑)
琴調 永六輔さんが「これからも新しいホールはいっぱいできるだろう。でも、売店があって、女中がいて、たばこ盆が置いてある畳の、この空間ができることはもうないんじゃないか」って、書いてくれた。そのとおりだよねえ。
伯山 講談だけじゃなく、いろんな芸がその空間で……。
琴調 義太夫、常磐津、新内、小唄。各大学の落語研究会もやっていたから。さだまさしさんも落研時代に、ここでやってるんじゃないかな。
伯山 貸席でみんなが使ってたんですね。ぜんぶ畳だから、今のお客さんは座りにくいでしょうね。
琴調 昔の人たちは平気だった。寝てる人もいたしね。
伯山 先生の頃も、寝てる人はいたんですか。
琴調 いたいた。客席がガラガラだったから、座布団を二つにたたんで寝てる人がいっぱいいた。将棋さしてる人もいたなあ。