七草粥は中国から伝わった

正月に関連するしきたりのなかで、その成立が古く、ほぼ同じ形で受け継がれているものとしては、「七草粥」がある。

飯倉晴武編著『日本人のしきたり』(青春新書インテリジェンス)によれば、七草粥のはじまりは中国にあるという。中国では毎年、官吏の昇進を1月7日と決めていた。その日の朝、立身出世を願って、薬草である若菜を食べるというしきたりがあった。

それが、平安時代に日本に伝えられると、宮廷の儀式として七草粥を食べるようになる。江戸時代には、幕府が定めた儀式のある日、すなわち式日の一つとなった。それが庶民にも広がり、七草粥を食べれば、その年一年、病気にならないと言われるようになる。
『日本人のしきたり』では、さらに伊勢神宮では、正月七日に若菜の粥を作って供えるしきたりが残っているとされている。

ただ、伊勢神宮のしきたりについて調べてみると、それは「新菜(わかなの)御饌(み け)」と呼ばれていたようだが、明治に入る時点で、中国のものであり、日本古来のものではないとして廃止されている(鎌田純一『中世伊勢神道の研究』続群書類従完成会)。

七草粥のしきたりについては、辞書にある通り、「以前からのならわし」ということになる。