いまの学校の通知表の3つの観点とは?

私はよく、学校で学ぶべきことは「ナレッジ」「スキル」「マインドセット」で、どれも重要だと言っています。

千代田国際中学校で校長を務める日野田直彦さん(写真提供:TAC出版)

車の運転を例にこの3つの違いを説明しましょう。

「ナレッジ」はある内容について知っている内容そのもの、つまり知識です。車の運転では、交通ルールや標識、車の操作方法などです。これだけでは車の運転はできません。

2つ目の「スキル」は、実際に曲がったり加速したり、停めたりする運転技術全般のことです。

3つ目の「マインドセット」は態度や心構えといったところで、車の運転でいえば、安全運転を心掛けたり、自分の性格などを知ったうえで「こういうときは危ない運転をしがちだから気をつけよう」と考えることです。

そうはいっても、大学受験のためには知識が必要だろうという方もいると思いますが、いまの学校現場は知識偏重から脱却しつつあります。通知表の評定を決める際の3つの観点をご存じでしょうか。

現在の学校の通知表は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点から評定を決めています。

学校教育法第30条に「生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うこと」とあるように、何を理解し・何ができるか(知識・技能)、理解している・できることをどう使うか(思考・判断・表現)、どのように社会と関わり人生を送るか(「学びに向かう人間性」、この一部を「主体的に学習に取り組む態度」として評価する)の3つの観点は学力の3要素と呼ばれ、それぞれA~Cをつけ、最終的に5段階で評価します。

定期テストの点数に、平常点と呼ばれる課題の提出状況や授業態度を加味して評定が決まる、という単純なものではないのです。

そして、大学入試でも学力の3要素をバランスよく評価しようという流れになってきたのです。「思考力・判断力・表現力」を意識した問題が共通テストで出題されるのもこのためです。