海外と日本の大学入試の違い

さて、「グローバルな時代に世界を担う人材を育成する」ために大学入試が改革されたと書きましたが、海外の大学入試はどんなものでしょうか。

あきらかなのは、世界の潮流は日本が進んでいる方向とまったく逆ということです。

そもそも、海外の大学の試験では知識を問うペーパーテストが減る傾向にあります。

たとえば、アメリカではGPA(学校の成績)、TOEFLやSATなど大学で学ぶ能力があるかを証明する試験の結果、学校などの推薦文、アクティビティの経歴書(部活や課外活動)、各大学が課すアプリケーションエッセイ、大学共通のコモンエッセイ、保護者の所得証明を提出し、おもに書類と面接で合否判定が行われます。日本のような一発勝負の入学試験ではありません。

アメリカの大学に進学するために必要なもの(図:『東大よりも世界に近い学校』より)

大半の大学が8月入学に対して1月1日が出願締め切り。つまり、半年以上の時間をかけて、どんな人に入学してほしいかを精査しているのです。4月に入学する学生のために1月半ばからセンター試験をして、2月に私大や国公立の入試をする日本とは大違いです。

「進路が決まったら勉強しなくなる」「直前まで授業しないと学習内容が終わらない」という考えからだとも思いますが、そもそもが大量の受験生を短時間でふるい落とす必要のあった、人口が増え続けていた高度経済成長を前提にした制度なのです。