もうひとつ、反響をいただいたのが殺陣のシーンですね。鎌倉殿に代々伝わる髑髏を取り戻しに行くという場面。政子から手を握ってお願いされてしまった広元が嬉しい気持ちを隠しながらも、命懸けで出かけていく。(笑)

文官で座ってばかりだった広元が戦う姿は意外だったと思いますが、僕も最初三谷さんに「殺陣できますか?」と聞かれた時は驚きました。そこからしっかりと殺陣を習って、撮影に挑みました。最初、監督(ディレクター)から相手は2人と聞いていたので、冗談で「3人いきましょう」なんて言っていたのですが、いざ本番になったら現場に7人いて。(笑)

物語前半の広元は頼朝と一緒に策略を巡らせることが多かった広元。「全部大泉のせい」と言われた頼朝ほどではないですが(笑)、「怖い」というイメージを持っていた視聴者の方は多いと思います。しかし物語終盤で彼のいろいろな面が明かされたことで、広元への印象もだいぶ違ったものになったのではと思っています。演じる側としても、最後まで「どう演じようか」と考えを巡らせるのは楽しい作業でした。

振り返れば、『鎌倉殿の13人』は「善と悪」の物語だったなと感じます。和田義盛にしてもね、梶原景時にしても、鎌倉殿のためによかれと思ってやったことが「悪」と判断されてしまい粛清される。その粛清の判断を下す頼朝や広元、義時も、一見「悪」に見えるのですが、すべては鎌倉の繁栄のために取った行動なわけです。視点を変えてみると善が悪に見える時もあるし、悪と思っていた行動の奥を覗いてみたら、そこには善があったということもある。

大江の広元のトレードマーク。特殊メイクと思えない仕上がり(栗原さんSNSより)