79歳でアパレル店員になった小畑さんの「好き」に囲まれた暮らしとは――(写真提供:大和書房)
「人生100年時代」といわれる昨今。年齢制限100歳までという斬新な求人広告を見て、79歳でミナ ペルホネン「call」のショップスタッフとして働き始めた小畑さんは、大好きなファッションの仕事に出会い、今できることを大いに頑張り楽しむ暮らしをしています。その小畑さんいわく、毎日を楽しく幸せに過ごすためには、行動力が大事だそうで――。

心が健康で100歳!大歓迎

79歳で夫を亡くしました。20代の初めに結婚し、50年以上も連れ添ってきましたから、やはりショックは大きいものでした。しばらく、心が空洞でした。そんなとき「つるとはな」(株式会社つるとはな)という雑誌で「call」の求人広告に出会ったのです。

「つるとはな」は、小さな出版社が出している「年上の先輩の話を聞く小さな場所」をコンセプトにした雑誌です。大好きで毎号、隅から隅まで読んでいました。そうしたら、第3号の折込みのページに「年齢は問いません。人生経験豊富な方、心が健康で100歳!大歓迎です」と「call」の求人広告が!

え? 100歳でもいいの? 驚きました。

小畑さんの人生を変えた「call」の求人広告(写真提供:大和書房)

 

それまで、とくに働くことは考えていませんでした。子どもたちが小学校に通うようになってから、カルチャースクールの洋裁教室の講師を務めていたこともありますが、基本的には主婦として生きてきました。夫も勤めていましたから、経済的な心配はしたことがありませんでした。

でも、なぜかこの求人広告には心を動かされました。

ミナ ペルホネンのこと、実はずっと知らなかったのです。求人広告を目にするちょっと前に、皆川明(みながわあきら)さんと松浦弥太郎(まつうらやたろう)さんの対談本『ミナを着て旅に出よう』(文春文庫)を図書館で借りて読んで知りました。それで、ちょうどミナ ペルホネンに興味をもっていた時期だったのです。