「もしかして〈幻視〉?レビー小体型認知症かもしれない。だったらちゃんと調べてもらわなくては。そう思った私は翌年1月、近所にある「もの忘れ外来」を受診することにしました」(撮影:本社・奥西義和)
認知症のなかでも、アルツハイマー型の次に多いといわれる、レビー小体型認知症。幻視の症状が特徴だが、何が見えているのかを実際に知る機会は少ない。レビー小体型認知症の当事者である三橋昭さんが描いた、幻視のイラストが話題になっている(構成=山田真理 撮影=本社・奥西義和)
【レビー小体型認知症(DLB)とは】
レビー小体というタンパク質が脳に蓄積されて生じ、幻視や手足の震え、動作がぎこちなくなるパーキンソン病のような運動機能の低下、抑うつ、睡眠時の異常行動などが起きる

天井に目の大きな土偶が

それは2018年11月下旬のことでした。早朝に飼い猫のたまちゃんがベッドサイドにやってきた気配がしたんですね。それで手を伸ばして撫でようとしたら――手がすーっとたまちゃんの身体に入っていっちゃった。朝目覚めて少しぼーっとしている時間ではありましたが、寝ぼけているとは思えないほど立体的でリアルでした。

その時は愕然として声も出ませんでしたし、隣に寝ていた妻にも話せませんでした。しかし、それから1ヵ月くらいした12月の中頃、今度は天井に目の大きな土偶がぽーんと浮かんできて。今度はモノクロの線画のようなものだったんです。

最初に見えた幻視はカラー。飼い猫のたまちゃんの身体を手がすり抜けた (18年11月)

もしかして「幻視」? レビー小体型認知症かもしれない。だったらちゃんと調べてもらわなくては。そう思った私は翌年1月、近所にある「もの忘れ外来」を受診することにしました。

なぜそんな早い決断ができたかというと、その1年ほど前にバーチャルリアリティ(VR)認知症体験をする機会があったからです。