身近な人の早期発見につながれば
病状がはっきりしてからは、投薬による治療も始まりました。レビー小体型認知症の症状の一つである手足の震えは、薬のおかげでほぼ出なくなりました。足がもわーっと重だるい症状が出てきてこれが非常につらかった。
寝ていても休まらず、ひどい時には足を切り落としたくなるくらい不快なのです。パーキンソン病でも起こるレストレス・レッグス症候群の治療薬を試したところ、劇的に改善できました。筋肉に多少のこわばりは残っていますが、重だるさは感じなくなりました。
そうした適切な治療が受けられるのも、幻視が見えてすぐに受診したおかげです。自分や家族が認知症かもと考えるのは不安だと思いますが、やはり早期発見と早期治療には大きな意味があると私は考えます。こうして多くの人に自分のことをお話しするのもそのための活動だと思っています。
もう一つ、早期発見ができて良かったこと。それはバリアフリーのマンションへの引っ越しでした。検査入院から退院してすぐ、車いす生活を想定し、奥さんが実行に移してくれたのです。
電車で職場に通えるようになったので、図書館での館長職は21年3月まで続けました。その後1年間は引き継ぎもあって、週3回ほど通ってから退職。22年4月からは完全にフリーです。
幻視は、見える回数が以前よりちょっと減っています。今は週休2日くらいかな。起きてすぐ、意識的にぼーっとしないと見逃しちゃうことも(笑)。イラストは、幻視が頭に残っているうちに描きます。なるべくその日のうちに、遅くとも2~3日中には描くようにしているのです。
使うのは0.7mm、2Bのシャープペンと色鉛筆。原画をスキャンしてパソコンに保存もしています。描き溜めたイラストは1000点を超えました。イラストはまったくの素人でしたが、4年も描くと慣れてきたのかな。「最近うまくなったね」と言われるんですよ(笑)。
映画の仕事をしていた経験もあって、パソコンに保存したイラストをつなげたスライドショーをユーチューブにアップしたりもしています。