認知症のなかでも、アルツハイマー型の次に多いといわれる、レビー小体型認知症。幻視の症状が特徴だが、何が見えているのかを実際に知る機会は少ない。レビー小体型認知症の当事者である三橋昭さんが描いた、幻視のイラストが話題になっている(構成=山田真理 撮影=本社・奥西義和)
【レビー小体型認知症(DLB)とは】
レビー小体というタンパク質が脳に蓄積されて生じ、幻視や手足の震え、動作がぎこちなくなるパーキンソン病のような運動機能の低下、抑うつ、睡眠時の異常行動などが起きる
レビー小体というタンパク質が脳に蓄積されて生じ、幻視や手足の震え、動作がぎこちなくなるパーキンソン病のような運動機能の低下、抑うつ、睡眠時の異常行動などが起きる
幻視をそのままイラストに
幻視は4月に入った頃からほぼ毎朝見えるようになりました。記録を始めたのは、その少し前から。もしこのまま症状が進んで何もわからなくなってしまうなら、その前に自分が生きている証として幻視を記録してみてはどうかと考えました。
最初は文章にしていたのですが、言葉だけでは伝えきれないもどかしさがあって。せっかくリアルに「見えて」いるなら、そのままイラストにしたほうが早いだろうと思ったのです。
私の場合、幻視が現れるのは目覚めの時で、昼間に突然現れることは今のところありません。形としては基本的にモノクロの線画です。たまにカラーが出てきて、不思議なことにその時は立体的なんですね。主治医の森友紀子先生によれば、「モノクロと色付きでは、見えている脳の部位が違うのかもしれない」とのことですが、はっきりしたことはわかりません。
これだけ毎日続くと似たような幻視も多いのですが、まったく同じということはない。逆に言うと、「今度は何が見えるのかな」という楽しみもあるんですよ(笑)。また猫のたまちゃんのようによく知ったものもあれば、「何でこんなものが見えたんだろう」と不思議に思う幻視もあって。
子どもの頃に体験したけれど記憶としては残っていないものが引きずり出されたのかもしれないということで、「未知の記憶」なんて呼んで面白がっています。残念なのは、前の晩に「こんなものが見れたらなあ」と思っても、希望通りに出てくれることはない点ですね。