「愛の差し押さえ」を

幸せぐせのポイントは、「何となくやり過ごしたり、感情に流されたりせず、先のことを具体的に考える」こと。長く連れ添ってきた夫婦というのは、処世術が身につきすぎて、険悪なムードにならないよう大事な話を先送りにしがちです。けれど問題が起きてから、「ちゃんと話し合っておけばよかった」と思っても手遅れ。とくにお金のことは、しっかり決めておかなければなりません。

そう考えると、一見Aのほうが先を見越した行動のように思えますが、実はこちらが不幸ぐせ。反対することそのものが悪いわけではありませんが、失敗すると決めつけられた夫は納得できないでしょう。もし夫が退職を迷っていて、「不安があるなら会社に残ってもいいんじゃない?」と助言して収まるならいい。けれど、「オレの人生だ。どう働くかはオレ自身が決める!」などと言う夫なら、反対してもケンカになるだけです。そんな挑戦したい夫の気持ちを全否定せず、かつ現実的、将来的なことも考えて妻の権利を主張するBが幸せぐせと言えます。

(イラスト◎大野舞)

離婚するわけでもないのに、妻が退職金の半分をもらいたいと伝えるのは気が進まない? いいえ、むしろそれは夫のためでもあるのです。なぜなら、もし夫の挑戦が失敗したとき、妻が確保していたお金があれば、家族は生活していけます。また、余裕があるなら夫の事業に援助することもできるでしょう。つまり、妻が半分もらうお金は「愛の差し押さえ」なのです。

ですから、うやむやにせずきちんと折半しておくこと。夫の挑戦に不安を覚えるならなおさらです。長年家族のために働いてきた夫へ、「あなたの夢を応援するわ」という態度を示しつつも、万一、夢破れたときのためにお金をキープしておくのが妻の計画性。残りのお金で夢を実現し成功させるのが、夫の甲斐性というわけです。