男性は困らず、女性だけが困るような状況をなくそう

大吉 生理の貧困も、社会を動かしているのがほぼ男性だけ、という時期に出てきた問題なら、言葉は悪いのですがあまり注目されなかったと思うんですよ。

ぼく個人もそうでしたけど、女性には生理があることを知っていても何が大変なのか具体的にはわからない。そうすると動けない……。

高尾 その組織に、女性の占める割合がどのくらいかというのは大きいですよね。私の学生時代を振り返っても、医学部は男子が圧倒的に多いのですが、まずトイレの数が違いました。

女子は個室が2つで、男子は5つ。ロッカーの数も違ったようです。でも女子学生の比率が増えれば、個室やロッカーの数を増やさざるをえなくなりますよね。

これと同じことが社会全体でも起きていて、女性も社会に出て働きつづけるのが「当たり前」となっていて、もうめずらしくもなんでもない存在です。そうしたライフスタイルを望む女性が増えているからでもありますが、国も女性の社会進出をすすめています。

かつては女性用のトイレがフロアになくて、女性たちはわざわざ別の階まで行っていたというケースも多かったようです。でもいまは、「それはおかしい」となりますよね。

日本は超少子高齢社会というのは説明するまでもないですが、特に気にされているのが15~65歳までの生産年齢人口です。

これが1990年代から減少する一方、しかし働き手を確保しなければ社会は回らない……ということで白羽の矢が立ったのが、高齢者と女性でした。

女性は寿退社、または妊娠出産したら退社という時代ではとっくになくなっています。女性のライフステージが変わっても働きつづけてもらうにはどうすればいいか、企業も考えなければならない。

女性を優遇して働きやすい環境を整えるというよりは、同じ仕事をしているのに男性は困らず、女性だけが困るような状況をなくそうということなんだと思います。

産休、育休の制度をはじめ、女性のライフステージが変わっても働きつづけてもらうにはどうすればいいか、社会全体で考えなければならない(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

産休、育休の制度を整えることもそうですし、いまでも管理職の大半は男性ですから、彼らが生理について理解することもそうです。この先は、更年期についても知ってほしいですね。