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〈治療〉投薬やリハビリなど症状別に対応
この疾患は、働き盛りの20~40代で、男性よりも女性に多く発症します。まったく治療をしないと、たとえば「歩行」の場合、一般的には発症して約15年で杖歩行に、20年で車椅子が必要になると言われています。しかし、早く受診して治療を始めれば、進行を抑えるとともに、寛解を維持でき、普通の人と変わらない日常生活を送ることができます。
治療や対策は「急性期」「再発防止」「慢性期」によって違います。
急性期の治療は「ステロイド・パルス療法」と「血液浄化療法」があります。ステロイド・パルス療法は、メチルプレドニゾロンというステロイドを点滴で3 ~ 5 日間投与します。炎症による神経のむくみを取り、炎症を起こすたんぱく質も抑えるので、極めて有効です。ステロイド・パルス療法で改善がない場合は、血液浄化療法を行います。これは血液の中の血漿成分を入れ替える治療です。
再発防止に用いられる薬剤には「インターフェロンβ」「グラチラマー酢酸塩」「フマル酸ジメチル」「フィンゴリモド」「ナタリズマブ」 「オファツムマブ」 があり、患者さんの状態に合わせて薬を選択して使用します。二次性進行型には「オファツムマブ」「シポニモド」が投与可能になりました。
慢性期の治療は、痛み、しびれ、麻痺などのある患者さんにはリハビリテーションをするなど、症状に合わせて対症療法を行います。