今から50年後の日本を考える必要がある

人口5000万人というのは明治末の日本の人口です。それでもその時に全国津々浦々には人が住んで、産業があり、固有の文化があり、きちんと生活を営んでいた。江戸時代の人口は約3000万人でしたけれども、300の藩(地域)に分かれ、基本的には自給自足していました。どこにも城下町があり、固有の産業があり、固有の伝統文化が守られていた。

『君たちのための自由論――ゲリラ的な学びのすすめ』(著:内田 樹、ウスビ・サコ/中公新書ラクレ)

そういう過去の「成功例」があるわけですから、またそれを工夫して、改善してシステムをつくればいい。なぜ、過去に一度経験したことがある「地方離散シナリオ」を捨てて、一度も試みたことがないし、何が起きるか想像もつかない「都市集中シナリオ」に固執するのか。

なぜ、そこまでして資本主義の延命を図らなければならないのか。

大学生である君たちはこのあと、まだ60年、70年と生きていくことになります。では、50年後の日本はどうなっているのか。それを今から考えておかなければならないと思います。

どのような人口構成になっているのか。どういう産業構造なのか。どこでどうやって人々は暮らしているのか。そのことについて十分な想像力を駆使しないと、就活の最初の一歩さえ踏み出せないと思うんです。