上白石さんは、昨年度最優秀女優賞を受賞した緒川たまきさんからブロンズ像を受け取った。

最優秀女優賞は上白石萌音さん(25)が史上最年少での受賞となった。評価された作品は『千と千尋の神隠し』の千尋役や『ダディ・ロング・レッグズ』のジルーシャ・アボット役。黒地に白い花模様のドレスに身を包んだ上白石さんは、壇上で作品関係者への感謝を述べた後、自身の演劇に対する強い思いを話した。

「私は元々舞台大好きで、小学生の頃から将来の夢は舞台俳優になることでした。甘い世界ではないと、一度はきっぱり夢を諦めたこともありましたが、数々の尊い出会いと幸運に恵まれて今があります。憧れ続けていた世界はやはり甘くなくて、お稽古の中で毎日悩むことばかりです。今日も稽古場から、どうしたものかと首をひねりながら、この会場に来ました。それでも、その焦りや悔しささえも、私にとっては大きな喜びです。子どもの頃から大好きだった演劇に携われているという幸せが、私をどんな困難からも引っ張り上げてくれます」

3月11日からは、井上芳雄さんとのミュージカル『ジェーン・エア』が開幕する。さらに、2024年2月公開予定の映画『夜明けのすべて』で、松村北斗さんとのW主演も決まっており、多忙な中でも前向きな姿勢を持ち続ける上白石さん。

さらに、「たくさんの方が心血を注いで生の時間を紡ぎだしていく演劇が、私は大好きです。今はまだ助けて頂くことばかりですが、私もいつか、誰かに手を差し伸べられるようになるほど、芝居を続けられたら幸せだと思っています」と今後の抱負を語った。

最優秀女優賞を最年少で受賞した上白石さんの活躍が楽しみだ。

 

最優秀男優賞に段田安則さん

段田安則さん。昨年度受賞者の高橋一生さんからブロンズ像を受け取った

最優秀男優賞には段田安則さん(66)が選ばれ、『セールスマンの死』のウィリー・ローマン役、『女の一生』の堤伸太郎役での受賞となった。

「20歳の頃、滝沢修主演の『セールスマンの死』を観て、素晴らしい、これが新劇というものなのかと感じたことを今も覚えています。その時には、自分が演じるとは夢にも思わず、まさかこの年になって出来るとは。ここまで続けてこられましたが、今でも自分は大した俳優ではないと思う時があります。 “今の間の取り方はヘタやな”と自分自身でツッコミをいれることも。この年になっても不安があるんですね。でも、今回賞を頂けて、“もうちょっと役者やってもいいんだよ”と、背中を押してもらえた気がします」と京都弁を交えながら、テンポよく話す段田さん。

上白石さんとは、2021年NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で義理の親子役として共演しているため、同じ壇上に立つ嬉しさについても触れ、「去年、義理の娘だった上白石萌音さんと同時に最優秀賞を取れる。冗談で(一緒に取れるかもね)言っていましたが、本当に獲ることができて、喜びが倍増しました。これからも、精進いたします!」と終始明るい雰囲気でスピーチをまとめた。