白を基調としたドレスに身を包んだ草笛光子さんと、受賞の様子を見守る高円宮妃久子殿下

芸術栄誉賞は、今年90歳になる草笛光子さん

長年にわたる演劇界への功績や優れた企画に対して贈られる芸術栄誉賞を、草笛光子さん(89)が受賞。

白いドレスにシルバーグレーのストールと、美しい衣装に身を包んだ草笛さんは、これまで受け取った受賞者が“重い”と口にするブロンズ像を、元気よく片手で持ち上げ、会場の視線に応える一幕も。その後に「ちょっと息が切れました」と言いながらも、朗らかな笑顔を見せた。

「私は今年で90歳になります。こんな年まで女優を出来るとは思っていませんでした。本当に何もできない少女だったんです。それがどういうわけか、芸能界に足を突っ込んで、この歳までやることになりました。いつも、これが最後かなと思いながら仕事をしているけど、おかげさまでまだ丈夫なんですよ。いくつまで出来るか分かりませんが、頑張りたいと思います。読売演劇大賞、こんな素晴らしいものをいただけて、本当に嬉しいです。来年もまたいただけるように頑張りたいです」

また、マネージャーのように支えてくれた母(富田登美恵さん)も、とっても喜んでいるだろうと話し、「お母さん、いただけた!」と、遠くを見つめながら嬉しそうに微笑んだ。

 

第30回読売演劇大賞は『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』

大賞発表は、読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理、老川祥一氏によって行われた。受賞した劇団チョコレートケーキ、劇団主宰・演出の日澤雄介さん(右手奥)と劇作家の古川健さん(手前)

第30回読売演劇大賞は、最優秀作品賞を受賞した、劇団チョコレートケーキ『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』が選ばれた。沖縄戦の悲劇を描いた作品「ガマ」の他、南京事件を起こした陸軍大将の内面に迫る物語など6作品を集中上演したもので、戦争経験者が一人もいない中、「戦争を知らない世代ゆえに、戦争の愚かさを客観的に見つめる力が抜群だった」と評価されている。

主宰・演出の日澤雄介さんは、「残念ながら昨年、戦争が起こってしまいました。なんでやめられないのか、どうしたら戦争を止めることができるのか、我々は問い続け、考えなければいけない。今回この作品を選んでいただいたこと、皆さんが明確に戦争に対して意思表示をしてもらったと思っています。対立じゃ無くて、対話を目指していきましょう」と、未来に向けたコメントを残した。