会社勤めをしながらぎりぎりの日々

お母さんは少し熱もあったので、体調が落ち着くまで様子を見つつ、病院に通って胃ろうや痰の吸引のしかた、おむつの替え方、姿勢の変え方などを看護師さんから学びました。連れて帰るのを決めたのは年明けだったけれど、退院した頃には、もう春になっていましたね。

もちろん私だけで介護することはできないので、お母さんが持っている「要介護5」の点数をフルに使って、専門職の方にも助けてもらっています。

訪問看護師さんが週3回、朝と夕方に1時間ずつ来て胃ろうの注入や看護をしてくれます。その間にはヘルパーさんも体を拭きに来てくれます。あとは、主治医の先生が2週に1回、マッサージの先生が週2回かな? 訪問入浴サービスも、月に2回お願いしています。

『認知症介護の話をしよう』(著:岩佐まり/日東書院本社)

上司にも相談し、週2、3回は在宅勤務にしてもらいました。それ以外の日も、お母さんのお世話をしてから出社したらいいということで、フレックス出社にさせてもらっています。

朝起きたら体温とおしっこの量を測って捨て、胃ろうの注入をし、薬も入れ、顔を拭いて……1時間くらいはかかりますね。在宅勤務でも朝8時半には仕事がはじまりますから、毎朝6時には起きています。

出社する日は、訪問看護師さんが来てくれるのを待って家を出ますから、会社に着くのは午後1時か2時くらいですね。そこから働くので、通常の勤務時間通りに働くと、会社を出るのは夜10時くらいになってしまいます。

今も電車で通勤しています。片道2時間くらいかかるので、本当は車のほうが早いと思うんですけど、疲れて車に乗るのは危ないですから。それに、電車だと寝ることもできるので、電車にしているんです。

日付が変わる頃家に帰ったら、まずお母さんの胃ろうに睡眠剤を注入して、脚を痛がっていることが多いので姿勢を変えて……晩ごはんを食べて寝るのは、だいたい2時か3時にはなっちゃいますね。

ただ、お母さんの拘縮がだんだんきつくなってきていて、夜中もずっと「痛い、痛い」と言っているんです。それだと私が眠れないから、お医者さんがお母さんに薬を出してくださっているんですけど、それでもちょっと、あまり寝られないですね。次の日も6時起きです。