儲かってはいません

清水:10年維持できた、ということは儲かってる、ってことなんです?

赤坂駅付近で最後の書店となった「双子のライオン堂書店」。入り口のドアが本の形になっています(写真:編集部)

竹田:いや、それはまったく(笑)。儲かる、っていう定義が難しいですけど、本屋単体では利益が出ていません。自ら出版やイベントをやったり、あとは、アルバイトや家業を手伝ったりして、複合的にやって生き延びている、って感じです。特に自分は古本でなく、新刊を扱ってきたので、利幅がどうしても少なくて。

清水:家賃だけはなんとかしてきた、ということ?

竹田:そうですね。家賃については特に考えていて……。いろいろ考えた結果、この本屋のスペースは借りるのではなく、買うことにしました。

清水:ええ!? そうなんですか。

竹田:事情はいろいろあるんですが、この書店スペースを維持するには、どうしても家賃として10数万円毎月かかる。一方で本屋を長く、たとえば50年続ける、と考えてみたら……。

清水:リスクが大きい?

竹田:もしこれから先、体調を崩してお店を続けられない、ということになって、その時手元に何も残っていない、というのではあまりにリスクが大きい。逆に50年続けられても、家賃を払い続けた後に何も残ってないようなら、やっぱりリスクが大きすぎる。でも30年のローンを組んで、もし払い終えることができれば、その先は当然、利益を生みやすくなるわけで。または自分の次の代では、苦労せずに本屋を続けられるのではないかなと。

清水:確かに。

竹田:この先、誰かに引き継ぐかどうかはわかりませんが、とりあえずこの店舗は会社組織が所有する形にしています。なので、家賃の代わりではないですが、ローンを返済していますね。

清水:それはおもしろい。