『本屋を維持する』を目標に掲げて

清水:今日はお時間をありがとうございます。

竹田:いえいえ、本屋のバックヤードの寒いところで申し訳ありません。

――ライオン堂さんは、書店の奥にスペースを設けていて、そこで本にまつわる動画配信や、著者さんのトークイベントなどを開催してらっしゃるんですよね。今日もこのあとボードゲームのイベントがあるそうで、その参加費なども書店運営の一助としています。

竹田:もともとは書き手として、小説家になりたかったんです。それが大学生の時に、ヤフーのような検索エンジンが広がり、インターネットが盛り上がり始めて。そんななかで小規模なオンライン書店を運営したのをきっかけに、書店経営に興味を持ちはじめました。

清水:2003年くらい?

竹田:はい。でも大学を出てからは、普通に会社勤めをして。10年経ってから、リアル書店を文京区白山に開店したわけですが、当時でも書店経営が難しいことはよく分かっていて。いざ始めてからお金が回らなくなった、困った、という事態になるのは絶対に避けなければならないと。

清水:なるほど。

竹田:それを考えた結果、『本屋で食っていく』ではなく『本屋を維持する』を目標に掲げることにしました。そして別で働きながら、まずそっちで食べられるようにしたうえで書店経営をする、という二足の草鞋を履く方法へと辿りつきました。

向かって左が竹田信弥さん、右が清水亮さん。対談は本屋さんのバックヤードで行われました(写真:編集部)

清水:維持する、ですか。

竹田:なので、書店を2013年に開店してからも、一度退職した会社にアルバイトとして雇い直してもらって。そのうえで、長く本屋をやるためにどうすればいいか、試行錯誤しつつなんとか10年経った、ということになります。