誰もがちょっとずつ楽になるコミュニケーション

大吉 ぼくもざっくりと知るのがいいと思うんですが、それは事細かに聞いて「知った気になる」とかえってトラブルにつながるんじゃないかと思うんですよ。余計なことを言ってしまいそう。

高尾 身体のことについてのコミュニケーションは、日ごろのコミュニケーションが相当取れていないかぎりむずかしいと思うんです。

「自分のパートナーと生理や更年期についてお話できますか?」と研修で聞くことがあります。もっとも親(ちか)しい関係の人とできないのに、一緒に働いているだけの人たちとできるわけがない。

『ぼくたちが知っておきたい生理のこと』(著:博多大吉、高尾美穂/辰巳出版)

研修でざっくり知って、それを家庭に持って帰る。パートナーの様子を見ていたら、これまでまったく気づいていなかったことが見えてきて、「もしかしたら」と思う。

それでコミュニケーションをとって、気遣いができるようになると、家庭という一番小さなコミュニティがよりよい環境になりますよね。

職場をよくするのは、その延長線上にあると思います。他者に対する想像力を働かせることが、チームを向上させることにつながります。

大吉 それって、誰もがちょっとずつ楽になるコミュニケーションですね。

高尾 はい、誰かに負担がかかるようなコミュニケーションだと、つづきませんからね。