芸人になって本当に良かった

笑いにはどこかで“犠牲者”がいる。それが一つの本質でもあると思うんやけど、この“犠牲者”が自分ならエエけど他人やったらアカン。これも難しいわね。

ただ、実は「B&B」の漫才は他人をけなさないし、流行のワードも入れない。いつの時代でもできる普遍的な笑いで作ってた。だから、制約を設けた中でもネタ作りはできるんやけど、グッと難しくなる。今の時代も、ウケるネタを作ることは大変やけど無理ではない。あとは頑張るしかないんやけど、大変やとはやっぱり思うわ。

そうやって時代とともに変わるのがテレビやとも思うんやけど、講演はこちらが一生懸命やって目の前のお客さんが喜んでくれさえすれば「洋七の講演面白かった」と言ってくれるわけです。それがまた次の講演につながるわけです。大変やけどシンプル。やりがいはあるし、オレの能力にも合ってた。この道を来て、オレは良かったと思ってます。

(撮影◎中西正男)

ホンマにね、この歳になってつくづく思うけど、オレは芸人になって本当に良かった。勉強ができるわけでもないけど、芸人としてしゃべるアタマはあったんやね。

もしオレがオレとしてもう一回生まれてきても、オレは芸人になる。次は売れるのか売れないのか分からんけど、それでも芸人になる。それくらい、オレにとっては合ってるし、何より楽しい仕事やと思ってるからね。