唯一の趣味がしゃべること

オレの場合はね、ホンマに趣味がないんよ。唯一の趣味がしゃべること。しかも、その趣味でみなさんが涙流して笑ってくれる。その上、お金までもらえる(笑)。こんなことある?

ただ、これまで5000回近く講演をしてきたけど、今でも一回一回が真剣勝負。毎回汗だくで、必死よ。ある人がオレの講演で計測してくれてね。というのは、1時間ちょっとの講演で何回笑いが起きるのか。ずーっと計ってくれててね。その人の計測によると、1時間8分の講演で235回笑いがあったと。計算したら18秒に一回ウケたことになる。

自分で言うのもナニやけど、これをやるのは簡単なことではない。でも、これができるのが自分としてはうれしいし、楽しいし、つくづくエエ仕事に就いて、エエ流れをもらえたと思うばかりです。

32~33年前にメディア出演から講演会にシフトしたんやけど、ホンマにそれが良かったと思う。テレビはこの歳になって出られるものでもないし、時代の変化で変わっていくものですからね。

若い芸人でもね、いろいろ相談されたりもするんですけど、今の時代で笑いをやるのはなかなか大変やとは思います。

72歳とは思えない若々しさ(撮影◎中西正男)

まず芸人の数が多いから、なかなかチャンスを得られない。何かの番組に出たとしてもネタ時間が1分とか2分。それやったら、ホンマはあいさつだけで終わりよ。だから、いきなり後ろからエイリアンが来たみたいな突拍子もない設定のネタから入らざるを得なくなる。日常で笑いを取りにくくなる。これはね、まぁ、難しいですよ。

それとね、今は“人にやさしい”時代になったから、人を傷つける笑いに対してものすごく厳しくなった。特にテレビではね。誰が見てるか分からんから。