松也 獅童さん(二代目中村獅童)はお父さまが早くに歌舞伎俳優を廃業されて歌舞伎界にはいらっしゃらなかったので、僕の目標というか、すごく勇気をいただきました。ですが、芸の継承についてはどの先輩方も血縁とは関係なくご指導してくださいます。これはとてもありがたく、家族に近い存在で見守っていてくださるんだな、と感じています。

右近 僕はハングリーさと坊っちゃん気分と両方持っていて(笑)。だから一人ぼっちになるのも怖くない。でも仲間はいるから、一人ぼっち同士で、歌舞伎という同じ輪の中にいるのがありがたいな、と。

松也 これからの歌舞伎界は師匠と弟子、という感じよりも、チームという感覚が強くなっていくのでは。そういう関係性を築くほうが、全体がうまくいくのかもしれないですね。

右近 どんなに隔てのない師弟関係になっても、それを納得させるだけの舞台をつとめられれば、絶対ついてきてくれると思います。

 

背中を追いかけたい先輩は……

 人づきあいに関して、お二人が大切にしていることはありますか。

松也 難しいですけど、自分の考えがすべてだ、と思わないことかな。みんな自分のことが好きです。だから、自分の感覚で人を見たくない、というか。

右近 人間が好きだからすごく懐いてしまうし、好きになるんだけど、わかりあえない部分はやっぱりある。だから戒めとして距離感を大事にすること。

松也 仕事上、距離感やぐっと踏み込むタイミングってとても大事で、チームで一緒に頑張らないといいものは作れない。でもプライベートになったら、たとえ踏み込みすぎても、向こうも必要としてくれるなら離れないですし、お互いに必要でなければ離れる。どんどん関係性が精査されていけばいいと思うようになりましたね。