今の生活が私にとって最高の生活だと信じてます

金婚式に家族から贈られた寄せ書き

九重 結婚生活50年。金婚式って言われてびっくりです。前に田辺家の親戚の金婚式のお祝いの席に出たんですが、完全におじいちゃんとおばあちゃんでしたよ。私たちもそんな年代なんてね~~。古希のときに「それがあなたで本当に良かった」っていう詞を書いて、曲をつけてもらったんです。これが私の本音かな? タイトルの「それが」も「本当に」もいりますか?って言われたけど、それがないと伝わらない。そして、田辺さんは「明日がまだある」を作詞作曲しました。この歌のとおり、幸せをかみしめながら、生きていくしかないですね。

田辺 うん。これからは老いを受け入れながら、楽しく暮らしていきたいね。「くしゃみしたらおしっこ出ちゃったよ」なんて言いながら(笑)。50年ってやっぱり歴史だと思うんですよ。だからたまには昔の写真を見たりして、こんな楽しいこともあったんだね、なんて思い出してみるのも必要な時間なんじゃないかな。過去は振り返らないなんていう人もいるけど、その過去の積み重ねの先に未来があるわけだから。

息子の晋太郎さんが両親にあてた手紙 (クリックで写真を拡大)

九重 私は心の裡にためておけないタイプだから何でも言っちゃう。でも田辺さんは、じっくり考えてから慎重に発言する。この人、昔から若年寄で、あ、今はホントの年寄りになっちゃったけど(笑)、何を聞いても「う~ん」といったきりなんです。でもそれは面倒だからほったらかしにしてるんじゃないの。ちゃんと考えてくれてるんです。それがわかってるから、私もあえてせかしたりしない。私とはペースがまるで違うだけ。そして忘れたころに「あれはね」と返ってくる答えが深かったりするわけ。そこは尊敬しています。田辺さんに対して不満があるとしたら、それはきっと誰に対しても不満になるはず。相手が変わっても同じことになると思う。今の生活が私にとって最高の生活だと信じてます。

田辺 知り合った当初はずっと僕が一方的に振り回されてきたけど、ようやく同等ぐらいになったかな?(笑) 僕たち、知り合ってからずっと、けんかはしたことがないよね。おとうさん(森繁さん)が伝えてくれたように、結婚してもそれぞれ自分の世界を大切にしているし、夫は、妻はこうあるべき!という思い込みは持たずにうちにはうちのスタイルがあるとお互いを尊重している。これからもお互いのペースで無理なく毎日を過ごしていきたいですね。

九重 私にとって田辺さん以上の人はいないと思っています。60年付き合ってもまだまだ新鮮な発見もある。これから先の日々も楽しみです!