私にとってマスクは無敵の味方だ(写真はイメージ。写真提供:photoAC)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは愛知県の70代の方からのお便り。マスクをしていると、性格が変わり社交的になれるというHMさん。散歩の途中で声をかけたのは――。

マスクの乙女

マスクをしていると性格が変わり社交的になる。

日課の散歩の途中、花の世話をしているシニア男性がいた。「何という花ですか」と訊くと、彼は名前を教えてくれたうえに、1本折ってプレゼントしてくれた。

大型犬を連れ散歩している強面の男性にも話しかける。「かっこいいですね。セントバーナードですか。ピレネー犬ですか」。今流行のミックスで、純血種にはない希少価値があると彼は自慢した。

子どもが幼い頃、家族でスキーに行くのが冬の楽しみだった。スキーウェアを着込み、毛糸の帽子にゴーグル、マスクをしてマフラーを巻き、仕上げにフードを被れば、年齢・性別不詳、国籍不明の人間になる。このいでたちには良いおまけがあった。シミ、シワは一瞬にして消え、赤いスキーウェアの乙女に変身。なんだか楽しくて、ゲレンデで軽快に雪と戯れた。