動物といえば、ムツゴロウさん
私は動物のことで声をあげようと思ったとき、「さかなクン」ならぬ「どうぶつチャン」みたいな感じだと子どもたちに伝わるかな? と思い、ネコのかぶり物をつけ始めた。舞台衣装の仕事をしている友人に作ってもらったのだが、何度も打ち合わせをし、できるだけ暑くないような素材にしてもらい、テレビに出ても声が聞こえるよう耳の部分はメッシュになっている。うちのクティ(ネコ)をモデルにした、よくできたかぶり物です。
動物といえば、ムツゴロウさん(畑正憲先生)だ、とも考えた。
そうだ。私が令和のムツゴロウになるのはどうだろう。勝手になるわけにもいかないので、ご本人に聞くしかない。
私はムツゴロウさんをネットで調べ、なんとか連絡をとり、会いたいと熱意を伝え、一人北海道に会いに行った。
2019年の中標津空港は涼しかった。
いよいよムツゴロウさんに会える。
ずっとテレビで見ていた人だ。そして今日から師匠になる人かもしれない。帰るときには、“青木ムツゴロウさやか“になっているかもしれないのだ。
北海道の友人と落ち合い、ナビで向かうがずっと同じ景色。迷いに迷い、ようやく着いた先は、ドラマ「大草原の小さな家」のような丸太で出来た一軒家だった。
ムツゴロウさんは、玄関先まで出てきてくださった。私たちは、20畳はあるだろう広いリビングに通され、大きな犬が出迎えてくれた。
私は、珍しくものすごく緊張した。
ムツゴロウさんの真ん前の木の椅子に座り、犬に対する長年の愛情についてお聞きした。お嬢さん手作りのチーズケーキは驚きの美味しさで、大きな犬もずっと食べたそうにしていたが絶対にあげなかった。ムツゴロウさんは犬に自分のチーズケーキをだいぶ食べられていた。可愛くてたまらないというように目を細くして犬を見ていたから、私も真似て目を細めてみたりした。