自分好みのオリジナルの部屋

普通の分譲マンションは建て売り住宅と一緒で、最初から各戸の間取りも内装も設備も決まっています。いわばお仕着せです。でもコーポラティブハウスの場合、法的・技術的・予算的に許す限り、居室内は自由設計です。間取りも設備も、建築家と一緒に考えて、自分オリジナルの部屋にできます。まさに注文建築です。

結果、すべての住居がばらばらで、一つとして同じ間取り・仕様の住戸がない、個性的なマンションが出来上がります。自分一人で注文住宅を作ることは不可能な好立地に、みなで一緒に共同住宅を建てることで、自分好みのオリジナルの部屋が手に入るのです。立地と間取りの自由度は一戸建て、金額はマンションです。

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例えば、都内の住宅街(第一種住居地域)に、けっこう広い面積の土地が出たとしましょう。一戸建てならば、すごい大豪邸になりますが、いまどき買ってくれる大金持ちはいるでしょうか。でも住宅街なので、いろいろな規制(建物の建ぺい率や容積率、高さ制限や日影規制など)があり、不動産開発業者(デベロッパー)が分譲マンションを建てるには狭すぎます。

また、区によっては、狭小戸建てが乱開発されて、地域が木造密集地域(木密)になるのを防ぐために、最低敷地面積を定めています。そういう区では、広い住宅地を小さい区画に分割して、狭小戸建てを建てて売ることも出来ません。こんな土地こそ、コーポラティブハウスの出番です。X社やY社のようなプロデュース会社が、土地を仕入れて、参加者を募り、集まった参加者が建設組合を結成して、設計者と施工者に発注し、自分たち好みの共同住宅、コーポラティブハウスを建てるのです。

この時、X社やY社は、設計や不動産の素人である参加者たちへの助言係となります。プロデュース料をもらって、全体の進捗を管理し、建築家や施工業者を選定・依頼・監理します。また住宅ローンをつけてくれる金融機関も探してきます。普通の分譲マンションとの違いは、参加者=購入者が受け身でなく、より主体的にならざるを得ないという点でしょう。建物の発注段階から、1ヵ月か2ヵ月に1度程度、みなで集まって、いろいろなことを話し合って決める必要があります。