たらい回し
すると、金曜夕方にO氏から直接電話がかかってきました。忙しいので連絡はメールにしてくれと言ってあったにもかかわらず、です。O氏は電話でいきなり、こちらの年齢、職業と、懐事情を聞いてきました。自己資金はいくらか、確定申告の税引き後の「所得」の金額はいくらか。――とても失礼です。これって電話で聞くような話じゃありません。しかもまだ一面識もない相手です。
嫌な感じだなあ、と思いましたが、質問に答えたついでに「ローンのことを相談したい」と伝えると、「大丈夫じゃないですか。3000万円とかは借りられるんじゃないすかね」と、O氏はさらりと言いました。なら、予算4500万の私も、もう少し頭金を入れれば買えるはずです。安心しました。ですが、翌日は物件に直接行くのではなく、まず営業所に来てほしいと、またも言われました。翌土曜日午前11時半に渋谷の営業所で資金面の相談をして、その後に物件を内見させてもらう、という段取りになりました。
ところがところが、です。いざ土曜になったら、またも、スケジュール変更です。O氏から土曜の朝8時31分にメールが来ました。「直前で恐れ入りますが、渋谷センターのお席が2件の契約が入ってしまい、確保できなくなってしまいました。大変申し訳ございませんが、桜新町センターにお越しいただきますようお願いできないでしょうか」。しかも、できれば時間を30分早めてほしいと。さすがの私も、どうやらおかしいと気づき始めました。
お金と属性の話をする前は、渋谷のセンターで良いと言っていたのが、お金の話をしたら、別の場所に移されるとは。これは、明らかに、私は先方にとって狙った客じゃない、パスしたいと思われて、避けられている、ということでしょう。場所や時間を変えることで、私からアポをキャンセルするのを待っているのでしょう(渋谷より桜新町のほうが私の自宅から遠いのに、時間を早めてほしい、っていうのは、明らかにリスケ狙いですよね?)。
でも、ここまで邪険にされると、悔しくて、逆に話が聞きたくなりました。O氏の言うがまま、分かりましたと、桜新町の営業所に行きました。行ってみてようやく、本当に「たらい回し」だったと、確信が持てました。「担当者です」と登場したのは、S氏。これまでメールも電話もしたことのない、初対面の若者だったからです。
S氏はおそらくまだ入社数年、20代です。そして、「内見の前にまず、お話を」といって話が始まりました。後から考えると、「O社で一戸建てを買うのを諦めさせる=あんたは客じゃないよと分からせる=説得工作」でした。そうは口には出しませんでしたが、明らかに「一昨日来やがれ」という雰囲気が漂っていました。客でもないヤツに内見はさせてやれない、ということでしょう。