いきなりキャンセル

さっそく、この物件を扱っている某有名不動産仲介業者O社に連絡をしました。次の日曜の午後イチで内見申し込みを入れ、物件前で待ち合わせたいので住所を教えてほしいと伝えました。担当者のF氏からは、前日の土曜に電話がかかってきて、物件前で直接待ち合わせではなく、まずは事務所で説明をしたいと言われました。仕方ない。まあローンが組めるかの相談もあるしな、と思って、午後1時に事務所に行き、3時頃から物件を内見する、という段取りでお願いしました。

ところが当日朝10時18分。F氏から携帯のショートメールでいきなりキャンセルの連絡です。「ご案内予定の物件ですが、お申し込みが入ってしまい、ご案内ができなくなってしまいました」。げ! なんと、内見予定の当日朝に申し込みが入ったの? そんな朝早く? しょうがない、申し込みが入ったら募集はストップですから、見られないのは仕方がありません。

この物件には「値下げ」と表示がありました。価格を下げた途端に売れてしまうのはよくある話です。では説明だけ聞きに行きますとSMSでレスしたところ、この日は忙しくなってしまったので(私のアポがもともと入っていたにもかかわらず!)リスケしてください、とのこと。しかもなんと担当F氏は今日で退社するので、別の人に引き継ぎます、といいます。

なんじゃそりゃ、です。退社日ぎりぎりまで働かせてるブラックな会社なのでしょうか。ブラックな会社だから退社してしまうのでしょうか。戸建ての購入時の住宅ローンについて、教えてほしかったのに。仕方ない、日程は組み直しです。どのみち、また物件を探さなくてはいけません。分かりました、また物件を見つけたらご連絡します、ということで、F氏とのSMSだけでの連絡が終わりました。

はあ。残念。売れちゃったのかあ。と、このとき、私はバカ正直にも思っていました。そして数日後。私は性懲りもなく、また狭小戸建てを不動産サイトで探しました。今度は実家の近くではなく、あるわけがないとは思いつつも、都内です。すると、――まさか! また、見つかったのです。4780万円! 土地35平米、建物40平米の木造二階建て。しかも今度は新築です! 土地も、狭いものの、借地ではなく所有権です。

またもO社の物件でした。何かきな臭いものを感じながらも、まだまだ純粋だった私は、またも内見申し込みの連絡を入れました。違う営業所の管理物件だったので、F氏が引き継ぐと言っていた後任とは違う人が担当者でした。今度の担当O氏は、物件詳細をメールで送ってくれました。都内の私鉄駅徒歩3分です。私の希望エリアからは外れますが、なにはともあれ、憧れの一戸建てです。

住所から調べたところ、事故物件だった訳でもなさそうです。忌みモノである墓地も川も大病院も、半径1キロ以内にはありません。逆に公園が近いので環境は良さそうです。土地が狭いので建物も小さいですが、私のように単身で住む分にはなんら問題はありません。ぜひ内見したいと伝え、次の土曜の午前11時半に物件前で落ち合いたいと、申し込みました。

賃貸物件では、キッチンのコンロはビルトイン(作り付け)ではない部屋も多い。その場合、賃借人がガスコンロを買って据え付けなくてはいけない。分譲賃貸や最近の賃貸物件では、IHクッキングヒーター(電子コンロ)がビルトインされていることもある(写真提供◎筆者)