現金買いだけ
そのうえ、S氏は私にこんこんと説明を続けます。「マンションと戸建てを比べたら、マンションの方が住みやすいんじゃないですか?」O社は戸建ての仲介業者です。なのに、不思議なことにS氏は、とうとうと、戸建ての短所を並べたて始めました。「マンションなら階段がないですけれど、戸建ては必ず階段があります」。年をとった時に大変ですよ、と暗示します。「ゴミ捨ても、大変ですしね。ゴミ捨て場の掃除当番とか、町内会で決まっていたりしますよね。それに、戸建てはピンキリですから。お高いハウスメーカーさんの注文住宅と、そのへんの建て売りの安い木造とでは」。
おいおい、自分のところの物件は後者じゃない、って言えるんですか?――ここまで熱心に、「戸建てはやめたほうがいいぞ、諦めてマンションにしろよ~」と、呪いのように呪文を繰り出すとは。S氏、いえO社は、本当にどうあっても、私にはお引き取り願いたいみたいです。
「分かりました。私が買えるとしたら、現金買いだけ、ってことですね」。なかばやけです。じゃあ、他の投資用物件を整理して現金を持って来たらどうするのよ、と啖呵を切ったのに、S氏は鼻で笑うようにして、「はあそうですね」と気のない返事をしました。現金を持ってこれるなら持ってきてみろ、ってことでしょう。馬鹿にしやがって~!! 腹が立つ~!! 悔しい~!!
でも、新築戸建てならば、アラ還だからこそ使えるローンがあるはずです。S氏は今のところその可能性には全く触れていません。最後に、その手段について、私はS氏に聞いてみました。さて、どうなったかというと、……続きは次回をお楽しみに。
◆本連載が書籍化され3月8日に発売されました