本当に楽しい日々であった。20年あまり続けたサークルが閉会となった今も、資料やパンフレット、地図、その他もろもろの品が、箱の蓋が閉まらぬほど大量に残っている。母から「床が抜けたら大変よ」と何度言われても、やはり処分できない。

そんな私の性分は親譲りなのか──。6年前、体が弱った父は介護老人保健施設に入所したが、家で暮らしていた間、母から「そろそろ終活を始めなさい。日記帳をはじめ書類や本、趣味で習っていた俳句のノートに、衣類、靴などいっぱいあるでしょう。片づけないと、残された娘が困るのよ」と、口酸っぱく言われ続けていた。

けれど、父は「まだ終活するには早い!」と怒り、いっこうに捨てようとはせず、結局、入所の数年後、肺炎で急逝。何も処分しないで、あの世に旅立ってしまった。

遺された品は、母の指摘通り大量で手がつけられない。自室はもとより、庭の物置の中にも本や工具などがぎっしりと詰め込まれたままだ。

 

祖母や両親に見守られている気がする

そんな父を見送り2年も経たないうちに、今度は母が急逝した。母は90歳を超えていたためか、あれほど強く父に「どんどん処分しなさい」と言っていたのに、押し入れやタンスには衣類や下着がぎっしり。小物入れやソファの横の棚にも年賀状の束や薬などがいっぱい残されており、その多さに私は唖然としてしまった。

母も私や父と同じ、溜め込み魔だったのだ。それを知り、片づけの煩わしさを通り越し、思わず笑ってしまった。だが笑ってばかりはいられない。父と母の遺したものを少しずつ袋に入れて、ゴミ収拾の日に出してはいるものの、とても終わりそうにない。

そこで私は思いついた。父と母の衣類や靴、下着を、私が活用すればいいのだ。そもそも年金暮らしの身の上、値上がりする光熱費のほか、年々増していく医療費の支払いにせいいっぱいで、新たな衣類や素敵なバッグなどを買う余裕はない。