この店ならではの楽しさ

由井 本の売り買いには大きく二通りありまして。一つは棚主がすでに所有している蔵書を置いて販売するパターン。この場合、全て「中古本」扱いとなります。具体的にはデータベースを介し、ISBNを使って本を登録。あとはそれぞれの本の状態などを入力してもらい、好きな価格を付けて売る、という流れになります。この場合、売れた価格の10%が店舗側の販売手数料、残ったものからさらに決済サービスの費用を引いたものが、棚主さんの利益になる仕組みです。

清水 新刊を置いてもいいんですか?

由井 それがもう一つのパターンになりますが、八木書店さんという、本の卸売を手掛ける会社と契約していまして。棚主さんの要望を店側が週に一度のペースで吸い上げ、それを八木書店さんに渡すことで、それぞれの棚に新刊を設置してもらう、という仕組みも用意しています。

清水 その場合、どういった販売体系になるんですか?

由井 ざっくりですが、定価の8割ぐらいで仕入れて棚に置いてもらう。売値の10%が店の利益で、その残りが棚主さんの利益になります。ですので、新刊については利益がどうというより、あくまで店のサービスの一環として用意していますよ、といったニュアンスが近いかもしれません。

清水 僕は著者でもあるので、出版社から自分の本を直接買って、それをここで売ることもできるのかな。

由井 実際、そういった流れで販売している著者さんもいらっしゃいます。たいていの場合、自著にサインや、ちょっとした手書きのメモを挟んだりと、付加価値を付けていただいて。なお著者であろうと、一度誰かの手元にわたった以上はあくまで「中古本」扱いですので、価格も自由につけることが可能です。

清水 つまり、値段を本来の価格から下げるのはもちろん上げても問題ない、ということですよね?

由井 はい。「この棚でしか買えない」といった本をつくり、それ相当の値付けを考えるのもこの店ならではの楽しさです。