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遺伝子組換え食品とは 安全性はチェックしている? 4月から「遺伝子組換え表示制度」が変更に 遺伝子組換え食品の「義務表示」と「任意表示」 新制度での変更点
「ゲノム編集」は遺伝子組換えとは違う?
ゲノム編集技術応用食品の安全性は?

「ゲノム編集」は遺伝子組換えとは違う?

最近、「ゲノム編集」という言葉がしばしば聞かれるようになりました。一見すると遺伝子組換えと同じようにも思われますが、この二つには明確な違いがあります。

遺伝子組換えが「ある生物から持ってきた遺伝子を別の生物に埋め込む」のに対し、ゲノム編集は「その生物がもともと持っていて、どのような働きをするかが分かっている遺伝子を狙って切断などして変える」ことをいいます。

ゲノム編集の実例をいくつかご紹介します。

・肉厚の真鯛

筋肉の発達を抑える遺伝子を働かなくすることで肉厚にし、可食部を増やした真鯛です。通常の真鯛よりも肉の量が多く、養殖の効率が上がるため、コストダウンが期待されています。

また、肉厚真鯛は「タンパク質危機」にも貢献しうるという点でも注目されています。

現在、世界人口の増加に伴い、将来的に動物性タンパク質が不足することが懸念されており、食用動物・魚類の代わりとなる大豆由来の代用肉や昆虫食などが話題となっています。この真鯛のように、ゲノム編集によって食用動物・魚類の生産を効率化することができれば、タンパク質危機を解決するための新たな手段になるのではないかと考えられています。

・高GABAトマト

血圧を下げる成分「ガンマアミノ酪酸(GABA)」を多く含むトマトです。トマトが有する、GABAの量を制限する遺伝子の一部を壊すことで実現しました。

・アレルギーの主な原因物質を除去した卵

卵に含まれる「オボムコイド」というタンパク質は、卵アレルギーの主な原因となるもので、遺伝子の働きにより鶏卵に蓄積されます。そこで、ゲノム編集によりこの遺伝子を働かなくさせ、オボムコイドを含まない卵を産む鶏を作り出しました。