ワーク・ライフ・バランス
ところで、そもそも、なぜ地方かというと、セミナーでの説明に納得したからです。その話をおさらいすると――首都圏、特に都内の新築マンション価格の、最近の異常な高値は、地価だけでなく、資材や人件費の高騰から、今後も下がる見込みがない。さらに、都心の新築物件の高額化が、郊外の新築物件や中古物件にも及び、全体に価格上昇が止まらない。住宅ローン減税が来年から縮小される見込みだ。いま最低水準にある住宅ローンの金利が日銀の金融政策次第では今後、上がってしまう可能性がある――との解説でした。
一方、コロナ下でリモートワークが定着し、より住環境の整った地方に移住して、リモートで仕事を続ける人たちがいます。セミナーでは移住者たちが登場し、地方ならではのQOLの高さや暮らしやすさ、リモートワークでのワーク・ライフ・バランスについて証言しました。また、人口減少と住宅の高齢化が進む中、国は今後、住宅性能の高い物件を優遇するように、住宅ローン控除や補助金などで誘導し、良質で長持ちする住宅ストックを増やす政策方針だ、との見通しも紹介されました。ちなみに、高断熱で省エネ性能の高いマンションは、ZEH(ゼッチ、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」)マンションと呼ばれ、補助金の対象になっています(環境省のhp〈i〉ご参考)。(余談ですが、環境対応といえば、東京都は2025年4月以降の、都内の新築マンションへの、電気自動車の充電スポット設置を義務づけ〈ii〉ました)
上記のような説明を聞くと、都内で、安くて予算内だからといって、耐震性だけでなく建物としての住宅性能も低い、古い物件を買うよりも、地方の最新設備・最新の住宅性能のマンションのほうが、資産価値も下がらずに良いのではないか、と思えました。いかに人口減とはいえ、県庁所在地の、グレードの高い新しいマンションなら生き残れる、将来的にも貸したり売ったりできるのではないか、と考えました。
アラ還とはいえ、私はまだ57歳です。まだ体は利きます。あと10~20年、体の動くうちは、地方都市で最先端の快適なマンションに住んで、日々の生活費は節約して、娯楽だけは東京に通う。いよいよ体が動かなくなりそうになったら、そのマンションを売って、節約して貯めたお金も合わせて、都内の高齢者ホームに入ればいい、と考えました(地方を選んだ場合の最大の問題は、いまはまだ元気な実家の母が具合が悪くなったらどうするか、です。頻繁に東京と行き来するなら、お金と時間がもったいないですが)。
〈i〉ゼッチマンションについては以下の記事に詳しい。
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaiteki/topics/20210205_01.html
〈ii〉電気自動車の普及促進のためで、駐車場がある場合、5台につき1基のEV充電器設置が義務になる(駐車場の台数4台以下は免除)。中古マンションは、設置が義務ではないが、都は、充電器の導入費負担を軽減するため、管理組合向けの補助金を用意している。
https://www.tokyo-evcharge.metro.tokyo.lg.jp/hojyokin/