写真提供◎photoAC
かつて女性の辛さは「女三界に家無し」と表現されました。しかし現代、「本当に住む家が買えない、借りられない」という危機的状況に直面するケースも増えています。そして男女雇用機会均等法で社会に出た女性たちが、会社勤めをしていればそろそろ一斉に定年を迎える時期に…。雇均法世代である筆者は57歳、夫なし、子なし。フリーの記者・編集者。個人事業主ではあるが、見方によっては「無職」。ずっと賃貸派だった彼女が、60歳を目前に「家を買おう」と思い立ち、右往左往するリアルタイムを、心情とともに綴ります。

前回「新築マンションの誘惑・下 ~狭い、高い、誰が買ってるの? 価格をつり上げる未入居新築投資」はこちら

地方の新築マンション

エリアを変え、予算を上げ、さらに一戸建てやコーポラティブハウス、新築マンションまで手を広げて物色中の、アラ還フリーランス独身女子の「終の棲家探し」ですが、なかなか良い物件に出会えません。新着不動産チェックにもさすがに疲れたある日、デベロッパーX社による「地方移住セミナー」がありました。そうか、地方移住という手もあった! その講座で地方の新築マンションが紹介されて、思いました。そうだ、地方に行こう! だって、都内で築30年以上の中古物件を買うのと同じか低い予算で、地方都市ならば、一等地に、より広い面積の新築ぴかぴかのマンションが買えるんですから。

樹脂は経年で変色する。これは玄関のインターホンと照明のスイッチだが、いずれもかなり黄色く変色している。日当たりなど状態にもよるが、築20年くらい経つとこうなる。タバコによる黄ばみではなく、樹脂そのものの変化だ。ほかにも風呂の湯沸かしパネルや収納の扉など、樹脂製のものは時間がたつと黄色くなる。壁紙は取り替えても、インターホンやスイッチ類はあまり取り替えないため、黄ばみはよけい目立つ(写真提供◎筆者)

 

早速、行ってきました! 気持ちの良い五月晴れの中、ある県庁所在地・Y市へ。新築マンションの棟内モデルルームを内見して来ました! 1泊2日、気分はプチ旅行です。

「うわあ~!!」マンション3階にある販売事務所に入った途端、目の前の借景に感動しました。きれいな新緑!! ちょうどマンションの目の前に高い建物がなく、少し離れた向かいは小高い台地になっています。小山の緑が、我が庭のような借景になっています。都内の自宅で、窓を開けたら隣のオフィスビルの社員さんと目が合う生活に疲れていた私には、まったくもって魂の洗濯でした。「すごい、良い景色ですねえ!!」感動して告げると、若い営業マンM氏は「モデルルームは上階ですから、もっと良い景色ですよ」と教えてくれました。

M氏には、これまでの終の棲家探しの顛末をかいつまんで説明しました。この数ヵ月、都内でマンションを探してきたが、予算内では、古かろう・狭かろうの物件になってしまう。新築は高すぎか、超狭い。築浅は、なかなか物件が市場に出ない。お値頃!と思ったら、現金買いの人に負けてしまう。どれだけ妥協しないと買えないんだろうと、なかばイヤになっていたところに、地方移住セミナーを受けたのでした。

新築マンションはやっぱり良いです。設備も最新式なら、壁も床も水回りも、ぴかぴかできれい。窓も大きく、天井も高くて、気分がゆったりします。しかも、完成後物件の長所は、眺望や部屋の内装を、実際に見て確かめられる点です。このマンションはY市街地の中心部。どこに行くにも便利で、繁華街まで徒歩10数分、JRの駅だって歩いて20分強で行かれます。東京で、駅徒歩20分などという中古マンションを見てきた目には、十分に歩ける距離、生活利便性が相当良い立地です(でも、地元の人は車だそう。駅も繁華街も、バスかタクシー利用で、歩いては行かないそうです、苦笑)。

しかも大手デベロッパーの作る物件だけあって、外観も高級感があります。1階エントランスやロビーも広くておしゃれです。都内でこのグレードなら、まず間違いなく億ションでしょう。残り数戸以外の部屋はすでに入居済みで、たまたますれ違った住人(おそらく)も、お金持ちっぽい雰囲気の上品なお年寄りでした。