姉は発見された時、倒れてから5日も経っていたそうです。そのため、右半身麻痺がひどく、リハビリを始めるまでに長い日数がかかりました。そんな姉の姿を見てかわいそうだと思う反面、妻の言いなりになる息子に意見しなかったことがこんな結果を招いたのだと、許せない気持ちにもなったのです。

退院して、実家でひとりで暮らす姉のもとに甥が訪ねてくることはほとんどなく、ヘルパーさんにまかせっきりになっていました。それから20年が経ち、姉が亡くなった年のこと。

姪から、「担保に入れていた実家の土地が高く売れたようで、貸していたお金がお兄ちゃん夫婦から返ってきた」と連絡があったのです。それに続いて、同級生から「あなたの実家が解体されているけど、どういうこと?」と慌てた様子で電話がかかってきました。

いつかはこんな日が来るとは思っていたけれど、とうとう売却されてしまったのか。解体することが決まったなら、一言連絡をくれればよいものを。相続を放棄したのだから仕方がないとはいえ、家族写真が貼られたアルバムを取りに行きたかった。解体される前に、自分の生家の写真を撮っておきたかったという思いがやみません。

甥夫婦は妻の実家で暮らし続け、姉は甥の妻の家の納骨堂に入っていると聞きました。私たちの両親の墓はちゃんとあり、義兄も一緒に入っているというのに――。もちろん何の相談もありませんでした。甥とは完全に絶縁。そしてこれから先、私は姉に手を合わせることはないでしょう。

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