忘れず警鐘を鳴らす

「今振り返ると、一斉休校をはじめ過剰な対応もあったと思う。当時は感染を防ごうと、データもワクチンもない中で必死に考えた。最後は政治が決断しなければならない」=古川氏

「感染の拡大をどう防ぐのか。コロナ以外の患者をどう救うのか。専門家の中でも議論は分かれていた。そういう難しい状況でも、政治家は全体を見ながら判断したと思う」=小坂氏

伊藤コロナ対応をめぐっては、政治家と専門家の関係、政治と科学の在り方が問われることになりました。古川さんが番組で率直に話されたように、後で振り返るとチグハグだったなと思えるような対策もあります。ただ、当時は、人間の命を守るためにベストな判断だと考えて実施していました。教訓にしなければいけませんが、責めることはできないと私は思います。

感染症対策に限らず、政治は目先の成果を追いがちです。吉田さんの言われたように、パンデミックになれば大変になると分かっていても、平時に戻れば予算や研究の体制は手薄になってしまう。政治の宿命のようなところがあり、そこを専門家がどうアドバイスしていくのか。我々のような報道機関がどう警鐘を鳴らしていくのか。そういう関係が求められています。

吉田同感です。大学の医学教育においても、感染症の理解にもっと力を入れるべきではないでしょうか。日本は中小の民間病院が多いという構造的な状況があります。コロナ患者の受け入れに慎重な中小の病院が少なくありませんでした。感染症は流行初期の対応が重要になります。一般の開業医にも発熱外来を担ってもらうなど、役割分担を進めることが大切です。流行状況の正確な把握も大切な課題です。そのためのデジタル化を急ぐべきです。政治が最後は判断するとしても、医療の構造的な問題を不断に見直していく必要があるのではないでしょうか。

新型コロナ対応で導入されたシステム©️日本テレビ