変化の兆しを生かす

「リモート会議やテレワークの普及は仕事や生活を考え直す契機になった。一方で『やはり対面は大切だ』と感じた人も多いと思う。両方の良さをうまく定着させてほしい」=古川氏

「『同調圧力』という言葉は悪い意味で使われるが、他人や社会に配慮できる社会と捉えることもできる。感染をコントロールしていく上で非常に大きな力になったと思う」=小坂氏

伊藤3年に及んだコロナ禍で、いろいろ我慢したり、悲しい思いをしたりした人も多いと思います。コロナ自体の恐ろしさだけではなく、感染拡大による社会の変化に翻弄されることがたくさん起こりました。そうした危機を乗り越えていくためには、社会や相手のことを考える想像力がこれからも大事になると思います。

日本のコロナ対応に反省すべきところは少なくないと思いますが、試行錯誤する中で「新しい生活様式」のようなスタイルや考え方も生まれました。こうした変化の兆しは今後もうまく生かしていくべきだと考えます。

吉田その通りだと思います。東京一極集中の是正は長年の課題となってきました。私の知り合いにも、東京から秋田に移り住んで、オンラインで仕事をし始めた人がいます。インターネットが全てを解決するわけではありませんが、デジタル化の良い面は生かしていくべきです。デジタル人材の育成を後押しする必要があります。

どんなに準備をしても、リスクはゼロになりません。いざという時に、これまでの教訓を生かしながら、制度や社会が柔軟に変わっていけることも大切なことではないでしょうか。

解説者のプロフィール

伊藤俊行/いとう・としゆき
読売新聞編集委員

1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。1988年読売新聞社入社。ワシントン特派員、国際部長、政治部長などを経て現職。

 

吉田清久/よしだ・きよひさ
読売新聞編集委員

1961年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1987年読売新聞社入社。東北総局、政治部次長、 医療部長などを経て現職。

 

提供:読売新聞