安田 まぁ!ふたりでそんな話をしていたのね。彼は一時、私の後ろで合唱していた方。私に歌い続けてほしいって言ってくれたから、結婚を決めたの。それと、当時は海外の楽譜を手に入れるのが大変で、アメリカに行けるということも理由のひとつではあったわね。(笑)

由紀 私はお姉ちゃんが結婚した少し後、「夜明けのスキャット」が大ヒット。一気に世界が変わった。

安田 「『紅白歌合戦』に出場が決まった」と国際電話をもらった時は、泣いてしまったのよ。私が日本でクラシックを歌っていた頃、あなたは下積みで勉強中。私がニューヨークで再び勉強を始めたら、あなたが歌手として活躍して。大人になるにつれて、きょうだいとはいえ、生活環境は大きく違っていったわ。

由紀 女としての人生も、まったく違ったわね(笑)。お姉ちゃんは結婚後、ひとり娘を出産した。私はデビューして19日後に、CMディレクターと結婚。若かったこともあって、結婚と仕事の両立が難しかったのね。7年で別居、その7年後に離婚してしまったから。

安田 いま考えても不思議なのだけど、あのころは結婚したあなたが住んでいたところも、別居したことも知らなかったのよ。