【争いの種4】遺言書の内容に偏りがある

親が遺言書を作成するのは、相続争いを避けるために有効な手段です。ただし内容が極端に偏っていたり、過去の援助額を無視していたりすると、むしろきょうだい間の争いを招いてしまう危険があります。

私が相談を受けた男性は、もともと実家で親の面倒を見ていた兄に、親の財産をすべて譲るつもりでした。しかし遺言書には自分の名前がなく、「兄に全財産を譲る」と書いてあったのです。

その後、兄からも「家のことを何もしてこなかったのだから当然だ」と言われ、カチンときてしまった。最終的に弟は、「兄の取り分が1円でも少なくなるなら、弁護士費用で自分の相続分がなくなってもかまわない」と、態度を硬化させてしまいました。

もしも親が事前に遺言書の中身を伝え、「それでいいか?」と意見を聞いてくれていたら、彼も気持ちよく承諾できたかもしれません。遺言書の内容は死後明らかにするものと思われがちですが、生前に家族で内容を共有しておくことが、争いを避けるためには大切なのです。

また、意外と多いのが、親が「遺言を書いた」と言っていたのに見つからないケース。「親の預金を使い込んでいたきょうだいが、自分に不利な遺言を破棄したのではないか」という相談を受けることもあります。不用意に自筆の遺言書を作り、それを子どもたちに伝えるのは、むしろトラブルのもとです。

親が遺言書を作るときは、公証人という法律のプロが作成する「公正証書遺言」をおすすめします。2人の証人が立ち会うことで内容の信用性が高まるほか、改ざんや紛失のリスクもありません。

もし自筆の遺言書を望む場合は、「自筆証書遺言書保管制度」を利用しましょう。申請時に法務局で遺言書の形式に不備がないか確認し、預かってもらえます。ただし法務局は内容までは目を通さないため、偏った遺言になる可能性もあると心得ておきましょう。下に、相続争いが起きにくい遺言書の心得をまとめました。よかったら参考にしてみてください。

今回紹介した対策の多くは、親が生きているうち、それも認知症などになる前の元気な間に進める必要があります。ぜひ家族全員でしっかりと話し合い、お互いの気持ちに寄り添った相続を目指してください。

●もめない遺言書の心得(図を拡大