電力の安定供給と
脱炭素社会の両立を目指して

子どもたちの未来へエネルギーをつなぐことの大切さも感じました

西村子どもたちが生きる未来の社会に必要なエネルギーのことも気になります。エネルギーは今日のテーマの1つですし、ぜひ学びたいと思っていました。

竹内今年5月、エネルギーに関する新しい法律が成立しました。「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法」といって、内容は大きく、再生可能エネルギーの最大限の導入促進と、安全確保を大前提とした原子力発電の活用で構成されています。エネルギーの安定供給を前提に、2050年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル、つまり「脱炭素社会」の実現に向けた法律です。同月に開催されたG7広島サミットでも、各国がそれぞれのエネルギー事情に合わせて脱炭素に取り組むことが発表されました。

西村ニュースで耳にしましたが、地球環境のことを考えての動きなのですね。

竹内そうなんです。GXとは、従来の化石燃料中心の社会構造をクリーンエネルギー中心に移行させること。そのためには「再生可能エネルギー」とともに、発電時にCO2を排出しない「原子力発電」を両輪で回すことが重要です。「電力の安定供給」と「脱炭素」の両立という点で、とても画期的なものになっているんですよ。

西村私も環境のことを考えて、日頃から節電に取り組んでいますが、節電には限界を感じることも。ですから、法律によってクリーンエネルギーの導入が進むことに期待したいです。「再生可能エネルギー」にはどんなものがあるのですか?

竹内太陽光や風力、水力、地熱などがあります。

西村温泉好きな私としては、地熱発電が気になります。

竹内地熱発電は、火山地帯などの地下から取り出した蒸気を利用します。ただ、発電の規模が小さいことや地下の地質調査等に時間やコストがかかるといった課題も。実は太陽光の導入は進んでいて、平地面積あたりの導入量は世界一です。風力については、海に囲まれた日本では洋上風力発電が有力ですが、遠浅の欧州などとは異なり、周辺海域が深いのが難点です。

西村再生可能エネルギーは自然や地形など、各地の特徴に合わせた開発が必要なのですね。

竹内島国である日本はエネルギー資源が少なく、陸続きのヨーロッパなどと違い、電力も輸入できないという事情があります。再生可能エネルギーの導入に力を入れていますが、安定性やコスト面等の課題もあり、すべてをまかなうことは現実的ではないと思っています。また、原子力や火力についても、それぞれ長所・短所があります。だからこそ、再生可能エネルギーはもちろんのこと、原子力や火力などさまざまな発電方法を組み合わせ、日本にとってベストとなる、バランスの取れたエネルギーミックスを目指すことが重要だと思います。

西村今日はお話をうかがって、電気を安定して届けながら、脱炭素社会を実現することの難しさと解決策を知ることができました。そして、子どもたちの未来へエネルギーをつなぐことの大切さもこれまで以上に感じましたし、娘と話したい話題をいろいろいただけてうれしいです。

竹内西村さんのような好奇心や探求心を持ち続ける方にこそ、未来の可能性が開けていると思います。これからも、ぜひさまざまな学びを続けてください。本日はありがとうございました。

西村 知美(にしむら・ともみ)

1970年山口県生まれ。85年、14歳で第1回ミス・モモコグランプリを獲得。映画『ドン松五郎の生活』で主演デビューし、主題歌で歌手デビューも果たす。第28回日本レコード大賞・新人賞受賞。バラエティ番組、ラジオ、ドラマ、映画などで多彩に活躍中

竹内 薫(たけうち・かおる)

1960年東京都生まれ。「科学応援団」として、テレビ、ラジオ、講演などで活躍。2016年、トライリンガル教育を行うYESインターナショナルスクールを開校。『僕たちはいつ宇宙に行けるのか』『AI時代を生き抜くための仮説脳』など著書多数

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