兄の後妻と同居する実母に異変が!?

兄の再婚が、自分の人生に、こんなにも大きな影を落とすことになるとは……と嘆く人もいる。

「離婚後、実家で母と暮らしていた兄が再婚すると言い出したときは驚きました。紹介したい人がいると呼び出されたのですが、当時44歳だった兄が、16歳も年下の女性・結美さんを連れてくるとは想定外で。正直、ミニスカートにはビックリしたけど、愛嬌のある子だなと思いました」

石川恵子さん(50歳・主婦)は、サバサバとした口調で、事の顛末を語り始めた。

「母は兄と二人で安泰に暮らしていたこともあって、『私はどうなるの?』と再婚話に動揺していたんです。私にしても、76歳になる母のことが気がかりでした」

とはいうものの、自分は遠方に嫁いでおり、夫の両親の介護も控えていた。相手の女性が母との同居を受け入れていると知ったときは、一安心したという。

ところが3年後、石川さんは母からの要領を得ない電話に戸惑うことになる。母は覇気のない声で、「何日も食事をしていない」といったことをたびたび口にするようになった。「自分で作れるでしょう?」 と尋ねても、「そんな状況じゃないの!」など、曖昧な返事ばかりで事情がつかめない。

心配になって兄に確認してみたが、「問題ない。大丈夫だから」と繰り返すばかり。石川さんは、「もしかしたらお母さん、寂しいのかな」と思い、様子を見に行くことはできなくても、せめて電話で話し相手になってあげたいと思っていた。

ところがその後も、母からの「ずっとお風呂に入っていない」「仏壇を拝ませてもらえない」といったSOSを告げる連絡が絶えない。そこで、意を決して実家を訪れてみると……。

「リビングも仏間もごみの山。冷蔵庫には賞味期限切れの食品しかないし、浴室はカビだらけ。母は『もっと早く来てほしかった』と子どものように泣き始めるし……。そればかりか『結美さんは?』と訊くと、『結美さんって?』と母がぼんやりした顔で私に尋ねるじゃありませんか。悪夢を見ているような気分でした」

石川さんは、このとき初めて、母が認知症を患っていることを確信した。当然のごとく、真剣に兄を問い詰めると、

「なんと結美さんは、好きな人ができたと言い残し、半年近く前に家を出ていたようです。兄は嫉妬で気が変になっていたのでしょう。普通なら信じられないことだけれど、母の異変に気がついていませんでした。そのうえ、ごみ屋敷に居心地のよさを見出していたというのですから、話になりません」